「糖質制限」論争の幕は何も下りていない
「糖質制限」が正しいという論文がランセットに載ったということが、一時期ネットで話題になりました。
PUREstudyと呼ばれる研究です。私たちの会社では、こういう研究の実施を支援しています(宣伝)。
さて、糖質制限ダイエットですが賛否の論争があります。
まず、糖質制限において、大事なポイントは「1日のエネルギーのうち、何%位を糖質から取るか」です。(1日のエネルギーのうち糖質・脂質・たんぱく質の占める割合をPFC比率といいます)
この糖質の割合を「どこまで下げていくのか」によって「糖質制限」と言えるかが変わってきます。
日本人の2010年の平均値が59.4%です。
一つ理解をしておきたいのは一般的な糖質制限「否定派」の人も「糖質の割合は50~60%には抑えましょう(=取りすぎは良くないですよ)」というのは合意しています。
日本人の平均が60%ですので、平均値以上の人は減らしてくださいね、ということですね。
ちなみに糖質制限で有名な江部先生だと糖質の割合は12%位のようです。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1469.html
さて、PUREstudyですが、割と誤解が広まっている印象を受けます。
ここにグラフがあります。(著作権の問題とかどうなっているか、さておいて)
http://joannenova.com.au/2017/09/low-fat-consensus-was-wrong-high-carb-diets-increase-death-rates/
縦軸が、mortality=死亡率
横軸がPFC比率です。グラフが二個載っていますが、右が「エネルギーのうち糖質の占める割合」です。
黒い線が研究の結果です。
点線は(わかりやすい説明が難しいのですが)「100回同じような研究をやると、(毎回結果は違いますが)95回はこの点線の中に入る、と予想されます」みたいな意味合いです。
見て頂くとわかるのですが、一番のメッセージは「60%を超えるあたりで死亡率が上がるけど、60%未満ではそんなに死亡率は変わらないよ」です。
上述したように否定派の人も「糖質の割合は50~60%程度には抑えましょう(=取りすぎは良くないですよ)」というのは合意しています
この研究の結果から「糖質制限の正しさが証明された」と言いたければ、もっと定量的に言わないとダメで「糖質のエネルギー比率が60%未満を目標とする糖質制限の正しさが証明された」です。これは関係者が全員賛成するでしょう。
もう一個注目したいのは、今回のPUREstudyの結果をよく見ると40%の周辺でむしろ死亡率が上がっているように見えます。(あまり有意な結果ではなさそうですが)
極端な糖質制限だと死亡率が上がるという報告は他にもあります。
ですので糖質制限の賛否を議論するのであれば、「何%位の糖質制限を意味しているのか」を揃えた方がいいな、と思います。
ちなみに「ロカボ」という言葉も最近よく聞きますが、(実は登録商標です)「極端な糖質抜きではなく、おいしく楽しく適正糖質を取ることを推奨しています。」と書いてあります^-^
もう一つの大事なポイントは「みんな一次情報にちゃんと戻ろうね」ですね。はい。