面白い話の原則
人前で自分がお話をしたり、他の方のお話を聞く時に、「面白い話」に幾つか原則があると思うんです。
圧倒的に面白いのは「自分の話」。その中でも矛盾や葛藤とどう闘うか、というのが面白い。
たまに「ワークライフバランスなんて言葉はナンセンスだ。仕事は遊びだし、遊びは仕事だ」的な話を聞くのですが、まったく自分には刺さらないんですよね。。。
こないだこんなことがありました。
僕は会社を始めて5年ですが、創業前からお付き合いのあるお客さん(しかも3,4社程度)が今でもメインのお客様です。一個のプロジェクトがとても長いので、それで会社を5年間続けさせて頂けているのですが、新規顧客の獲得は重要なテーマです。
一個、偶然見つけた入札案件がありました。予想額はうちの年間売り上げの15%位。つまりこの案件が取れれば年間15%の売り上げ増になります。それが3年位続く案件です。
ほ、ほすぃ。しかも、うちの強みが生きそうな領域です。
でも、困ったことに、入札日が下の子(1歳)の手術日と重なりました。難しい手術ではないとはいえ、全身麻酔をします。麻酔をする以上、何が起きるか分かりません。
会場は運悪く大阪。
選択肢は3つぐらいあります。
①入札には行かず手術に行く
②手術に行かず大阪までプレゼンに行く。
③手術に行って、他の社員に入札に行ってもらう。
うちは営業はおいていないです。(既存顧客とその口コミだけでやっていますから)
会社としては喉から手が出るほど欲しい売上。
手術に立ち会っても自分が出来る事は少ないです。手術の難易度も低いと聞いています。でも、奥さんの不安も和らげてあげたいし、
何より、もしものことがあったら…。
こういう葛藤でどう向き合うんでしょうか。皆さんだったらどうしますか?
慣れていない社員でも、大阪にいって入札に参加させる、という意見も結構多そうな気がしています。
ちなみに私は、あっさり入札は諦めました。「①入札には行かず手術に行く」です。
一番の理由は「縁がないな」と思ったからです。大事な日にプレゼン日が設定されるような案件は、取れても色々とトラブル起きそうだなー、と思いました。
でも、これが出来るのは、そうはいっても今はトントン位には経営が成り立っていて、かつ、100%自分の資本だからです。
これが会社がつぶれるかもしれない、という状況だったり株主から売り上げの厳しいプレッシャーにさらされていたりしたら変わっていたかもしれません。他にも色々な背景によって、判断は違ってくると思うんですよね。
正解はない、もしくはすべてが正解なんだと思います。
これはかなり極端な例ですが、毎日、ワークライフバランスについては、矛盾や葛藤と戦いです。
「子供は早く帰って来てほしがっている。でも目の前には仕事が山積み。」
こんな時皆さんは、どうやって意思決定してるんでしょう。仕事を取らざるを得ない時、どう折り合いをつけているんでしょう。
そういう矛盾や葛藤を理解せず、「仕事は遊び、遊びは仕事だよね」みたいな議論をされても「なんだかなー」と思ってしまいます。
そんなこんなで、人の前で話をするのが僕は好きなんですが、決して上手ではないです。理由の一つは、こういう葛藤に対して、さっぱり割り切れる方なので、話が面白くないんですよね。
「人前で話をするときには矛盾や葛藤を理解した方が面白い」という話でした。